Paradise Jack
BEST OF THE WORLD
最優秀賞
『灯』
撮影者 暮野皐月
絵に写るそこは、薄暗くて、モノが溢れる部屋だった。淡い光が大きな木枠の窓から差し込み、辺りをそっと照らしている。
アンティークデスクの両側には、沢山の書物が積み上げられていて、今にも崩れ落ちそうだ。
そんなデスクの中心で、レンズに背を向けた女。
伸ばしっぱなしの手入れのされない髪がかかる、痩せっぽちの背。きつく握り締められたボールペンが、真っ白い原稿に突き立てられていた。
「…これ、わたし」
自然と唇を噛んでいた。
押さえようのない感情が高まり、わたしは居ても立っても居られず立ち上がる。ガタンと椅子が音を立て、近くで本を読んでいた人が驚いて顔をあげた。