Paradise Jack
「肖像権の侵害」
「…シャッター切ったのにも気づかない、シュウが悪い」
「文章書いてる時に、そんな音聞こえないよ」
「うん、知ってた」
ナナは、にこりと笑って、いつの間に用意したのか、たっぷり消毒液をしみこませたガーゼを何の遠慮もすることなく、わたしの膝小僧にべたりと乗せた。
「ふぬあ、い…、痛い!沁みる、死んじゃうっ」
「死ぬわけないでしょ。我慢。折角、シュウは肌が綺麗なんだから、もっと大切にしないと」
「…よけーなお世話です」
「こら、暴れないで」
そのまま、2人でソファに座る。
ナナの顔がゆっくりと近づいて、わたしの唇に触れた。
どうしたというのだろう。
まるで、ファーストキスのように感じて、恥ずかしくなる。思わずナナから顔を反らせば、くつくつとナナが笑うのが聞こえた。