Paradise Jack
じゃれ合いながら、キスして、噛み付いて、1枚1枚、肌に纏う布を剥ぐ。
真っ白なシーツに2人で絡まって、互いの肌に触れるのだ。
不思議ね。ナナ。
たったひとつ、君のことを知っただけだというのに、今こんなにも君を近くに感じている。
「一等賞なんて、凄いじゃない。ナナ」
「ふふ、モデルが良かったからかな。そしたら、シュウのお陰だ」
「…撮るなら、もう少し部屋を片付けておけばよかった」
ナナが笑って、わたしをベッドに押し倒した。
ナナの、ピアニストのように長い指がわたしの身体をなぞる。そのひとつひとつがとても熱い。
ああ、このシーン。わたしの、処女作。
夜明けの銀の――、
「"まるで覚めない夢、明けない夜のようだ"」
ほんのり汗を滲ませたナナが、まるで心を読んだかのように、小説の一文を独り言のように漏らした。
覚めない夢であればいい。
けれど、それは叶わない。
わたし達が、この世界を生きる限り。