Paradise Jack
それをナナ越しに見ながら、瞼を閉じる。
「ねえ、シュウ。妬かないでよね」
「妬いてませーん。恋人でもないのに、そんな感情持つわけ無いじゃん」
「じゃあ、なんで拗ねてるんだよ。目、開けてよ」
子供みたいに反抗して、ごろりと寝返りを打ってナナに背を向けた。そんなわたしにも、ナナはただ呆れて笑うだけだ。
「ただ、写真の技術やセンスだけで彼女の元に行くわけじゃないよ」
「…」
「…俺も、いつか自分の写真で、小林秀宇の本を飾りたい。それには、今のままじゃ駄目だから。だって、小林秀宇は、きっとこれから世間が求める凄い作家になるよ」
「煽てないで」
「俺がそんな無意味なことしないの、シュウは知ってるでしょう」
うん、そう呟けば、ナナがそっとわたしの頭を撫ぜた。ナナのが年下のくせに、人のことばかり子供扱いして。