Paradise Jack
***
RRRRR....
電話が鳴ってる。
でも、面倒臭いなあ。いいや、無視しよう。無視、無視。
あ、鳴りやんだ。
それを確認して、そっと瞳を開ける。
ナナがいなくなって早くも三ヶ月が経とうとしていた。
ナナの気配が少しずつ薄れて、この部屋にわたしひとりしかいないということが当たり前になる。
原稿は真っ白。
ナナがイタリアへと旅立ってからちょうど二週間後にエアメールが届いたけれど、それにすらまだ返事を書けていなかった。