Paradise Jack

無機質な字を追うより、よほど楽しい。

受け取った原稿にゆっくりと目を通す。ぐわりと、彼女の書き出す世界観に引き込まれていくのがわかる。


この感覚に、読者はあっという間に中毒になるのだ。俺もそう。


「静香、お気に召されましたか」


シュウはマグに入った珈琲を差し出しながら微笑む。

ずれたレイバン眼鏡からのぞく瞳が、猫のように柔らかく細められた。

ズボラで、世間ずれしていて、少々エキセントリックな面がある。けれど、それでも信じて疑わないもの。

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