Paradise Jack


シュウの手から鍵を奪って、扉を開ける。
もはや半分程意識のないシュウを担いで部屋へと入った。


手探りでなんとか電気をつけて、ベッドに寝かせた。

死んだようにうつ伏せている彼女を一瞥し、キッチンへと向かい水を一杯用意する。(ていうか、バーに酒を飲みにいって、どうしてシュウのおもりをするハメになってるんだ)


「…どうしたもんかな…」


このまま自分の部屋に戻ってしまおうか。けれど、いくらなんでも鍵を開けっ放しにしておくわけにもいかないし、かといって部屋の鍵を預かるってのも…。
そんなことを考えながらリヴィングへと戻る。

サイドテーブルにグラスを置いて、ぐるりと部屋を見渡した。
相変わらず、統一性がないというか、ほんとうに気に入ったものを衝動的に買って並べただけの部屋で、インテリアも何もない。

壁に掛かるハト時計は、午前4時の少し手前を指していた。
とりあえず、この部屋に山ほどある本で時間を潰して、シュウの目が覚めるのを待つことにした。
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