Paradise Jack
…けれど。小林秀宇を説得するに至らず、彼女が生み出す作品を小さな枠に押しとどめている。
木本さんが、深夜に言っていたのはこのことだったのか。
「小林先生の担当を外されると言うことでしょうか」
「…いや、そんなこと出来るわけがないじゃないか。わが社で小林先生と面通しが可能なのは、君だけだ。先生は私達にでさえ顔を見せてはくれない」
「先生は、随分と人見知りをされるので…、申し訳ございません」
「ははは、いやいや、いいんだよ。ただね、そこに彼を加えることは出来ないだろうか」
言葉の出ない俺に、木本さんが肩を竦めながら小さく笑みを浮かべた。