Paradise Jack



「別に、イラついてなんて…」


嘘。人の心の機微に鈍感な橘にでさえ声を掛けられるくらいには、動揺している。


「小林先生のことか?」

「なんでわかるんですか、橘」

「だって、冷静沈着なお前がそこまで感情的になるのって、小林先生絡みのことくらいじゃないか。去年、恋人に振られたって話をしたときすら、ただの世間話語る風だったくせに」

「…そんな話、今更持ち出さないでください」


溜息をつきながら、パソコンを立ち上げる。
Outlookを開いて、俺と木本さんの共有スケジュールをそれぞれに立ち上げた。

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