Paradise Jack
ブラックアイアンのドアハンドルを押して、店内へと入る。カラン、とベルが鳴って、入店を知らせる。
「いらっしゃい…て、先生に静香さん。随分久しぶりだなあ」
いつものカウンター席に勝手に座る。
この店のバーテンダーである深山芹生が、にっこり笑いながら、彼特製のサングリアを一杯目に用意してくれた。
「きょう、マスターはいないの?」
「そうなんだよ。また、レシピ研究で徹夜したらしくってさ、寝不足で出れないって」
シュウはフィリップモリスに火をつけて、ゆっくりと紫煙を吐き出した。