Paradise Jack
嘲るような笑いを浮かべるラリーを小さく睨む。しっかりと筋肉のついた腕をどけ、こいつから距離をとろうとすれば、押さえるように肩を掴んできた。
『オンナ顔負けの美貌が、監督の目にとまったのか?』
『…は?』
『大した演技も出来ないくせに。役者の中じゃ、随分噂になっていたぜ。オマエが、"夜"をうまく利用してるってなあ』
この男の持つ卑らしい目つきに背筋がぞわぞわと粟立った。
『俺が、あの"男"とセックスしたお陰で成功してると言いたいのか?』
『さあ』
やり取りを続けていたら、俺は絶対にラリーを殴っていただろうけど、それが中断されたのは突如周囲から上がった悲鳴のせいだった。