Paradise Jack

『Who are you（オマエは誰だ）？』


この状況が、ただの冗談ではないとようやく察したラリーが、でかい図体を丸めて逃げていくのが目の端に映った。

女は、俺の問いには答えない。


『自分の恋人を忘れるなんて、酷い人ね』


いつの間にか、子供は泣き止み、ぐったりと意識を失っていた。警察はまだか。そっと視線を投げるも混乱した様子のスタッフは大きく首を横に振る。

ぎらりと光る鈍い銀色が子供から離れて、ゆっくりと俺を指す。


『ずっと、いつでも、あなたの一番近くにいたいのよ、私』


細められたブルーアイズ。