Paradise Jack
…おいおい、オヤジ。コンビニでナンパするなよ。
怜は、あからさまにうざそうな顔をしている。別に助ける義理もないので、やり取りが終わるのを雑誌を広げながら待つことにする。
「ありがとう。でも、結構よ」
そう言うなり、ぐい、と腕を引かれて、店主の前に引き出されて思い切りよろける。
「なんですか、」
「私の男。この町に凄く詳しいのよ」
「怜!」
「ということで、ごきげんよう。今後とも、どうぞ宜しくね」
品物を受け取りざま、ひとつ投げられたウィンクに、店主が面食らったような顔をしている。どこの破天荒なアメリカーナだ、まったく。