Paradise Jack


…おいおい、オヤジ。コンビニでナンパするなよ。

怜は、あからさまにうざそうな顔をしている。別に助ける義理もないので、やり取りが終わるのを雑誌を広げながら待つことにする。


「ありがとう。でも、結構よ」


そう言うなり、ぐい、と腕を引かれて、店主の前に引き出されて思い切りよろける。


「なんですか、」

「私の男。この町に凄く詳しいのよ」

「怜!」

「ということで、ごきげんよう。今後とも、どうぞ宜しくね」


品物を受け取りざま、ひとつ投げられたウィンクに、店主が面食らったような顔をしている。どこの破天荒なアメリカーナだ、まったく。
< 91 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop