俺のリナ。
…ただいま
重い足取りで
玄関に入る
リナのことを
聞いてから
俺はますます
晴れない気分で
精神的にも
肉体的にも
疲れてしまった
あらトシ
今日は早かったのね
母さんがリビングから
顔をだす
家の中は
チキンやら
シチューやらの
クリスマス特有の
匂いがした
母さんははりきって
今夜の晩餐を
作っていた
なんだよ
いい歳して
なんだか
おかしくなって
ひとりで笑った
ただいま
あらあなた
お帰りなさい
いつも
残業ばかりの
父さんも
帰ってきた
母さんは
料理の手をとめて
玄関へ急ぐ
父さんは
なんだ、
随分とはりきってるな
と嬉しそうに笑んで
大きなコートを
母さんに持たせ
靴を脱ぐ
俺が
小さいころみたいで
なんだか
微笑ましい光景
年に一度の
楽しみな行事だった
あのころみたいで