ただ好きなだけ
大学を辞めて、仕事に集中したいと言った健吾。
仕事が充実し始めるのと反比例して、私と健吾の時間は減っていった。


いつも2人分作っていた夕食は、いつの間にか、1人分になって、毎日とっていた連絡は、いつの間にか、必要最低限になって、2人で寝るために、空けていたベットに今は大の字で寝る。


いつから、健吾はあんなに遠い存在になってしまったんだろう…。


あんなに近い存在だったのに。


今でも、私の1番は健吾だけど…


健吾の1番はきっと仕事。


じゃー、2番目は?


私は、今健吾にとって何番目に大事な存在?


私は、毎日毎日、健吾を考えるけど…


健吾は私を1日1回くらいは思い出してくれるのかな?


誰よりも健吾を知っていたつもりだったのに…


今は、健吾が分からない。


時々は、私を抱きしめてよ。
「好き」だと言ってよ。
「未愛」と呼んでよ。

…私が望んでることって、贅沢すぎる悩みですか?
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