ただ好きなだけ


たくさんの不安も。
たくさんの疑問も。
たくさんの後悔も。
たくさんの孤独も。


存在するのには、意味があるような気さえした。


毎日、私を苦しめるのに、それらは、健吾と過ごせる何気ない時間がいかに、大切で、幸せなのかを教えてくれているんじゃないかな…今はそんな風に思える。
きっと、健吾が横にいてくれるからどろうけど…。


未「ねぇ、健吾?」


行為が終わり、眠たそうにしている健吾に話しかける私。
健吾は、眠たい目を必死にこじ開けようとしてるのが分かって、面白かった。
だって、テレビの中では、あんなにイケてる健吾の、このあどけない表情は、やっぱり、みんながみんな見れる表情ではないはずだから…。
私は、健吾のそばにいるんだって実感できる幸せな空間。


未「14日は仕事?」


バレンタイン。
そして、私達の記念日。
4回目の。

ワガママかも知れない。
引っ張りだこの人気俳優の数時間を私、一人で独占しようとしているなんて。
でも、14日だけは、特別だから。
たった数時間でいい。
私に独占させて。


いつもなら、ワガママの言えない私だけど…
幸せな空間のせい?
健吾が横にいるおかげ?

まるで、昔に戻ったようなワガママがポロリと口から溢れた…。
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