ただ好きなだけ
健「仕事、かな?ドラマの撮影が始まったばっかりだし…」


いつもの返事。
時間があるなんて返事を最近まともに聞いたこともない。
でも、やっぱり、ワガママは溢れ出す。
健吾に迷惑をかけたくないけど…


未「帰ってきて」


14日だけは…
今日みたいに遅くなってもいい。
帰ってきて、未愛と呼んで、ギュっと抱きしめて、好きと言って。


健「何か、未愛にお願いされるの懐かしいね。我慢させてるよな?うん、帰ってくる。帰ってきて、二人で記念日を祝おう」


嬉しかったんだ。
健吾が帰ってくるといってくれたこと。
記念日だって覚えていてくれたこと。
そして、ギュっと抱きしめてくれたことが。


未「約束、だからね?」


健「うん、約束」


そうして、私達は触れるだけの優しいキスをして、深い深い眠りについた。

< 15 / 76 >

この作品をシェア

pagetop