ただ好きなだけ

渦巻く影



あれ以来、健吾は再び家に帰れない日が続いているし、この前に出たスキャンダルは熱を冷めることを知らないようで、毎日、毎日、どこかのテレビ番組が健吾のスキャンダルについて放送していた…。


愛「健吾のスキャンダル、毎日毎日凄いよね」


未「うん。他に事件とか事故とか、政治とか大切なことがありそうなのに…。こんな事ばっかり放送してる日本って平和だよね」


前の私だったら、きっとテレビを見るたびに落ち込んで、傷ついて、涙を流して、健吾を疑って、不安になっていたんだと思う。

でも、今は健吾を信じてる。
抱きしめてくれたぬくもりも。
健吾の暖かい眼差しも。
健吾の香りも。
健吾と交わした約束も。
はっきりと覚えているから。


愛「まぁ、健吾ほどの人気俳優なら仕方ないのかもね?」


未「そだね」
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