ただ好きなだけ
愛「ってか、次の健吾のドラマ見てる?」


そう言えば、ドラマの撮影が始まった的なことを健吾が言ってたなって言うのを思い出しながら、愛李の言葉に耳を傾けた。


愛「刑事ものなんだけど、健吾マジかっこいいの。未愛も見たら、絶対に健吾のファンになっちゃうよ。」


と興奮気味に話す愛李。

健吾のファンになったのは私が1番最初だよ。
なんて、言いたくても、言えない。
健吾のことを多く、語るようになって、内緒の恋がバレるきっかけは作りたくないから。


未「愛李みたいにミーハーにはなれないよ」

 
本当は私だって、愛李みたいに健吾のドラマを見たい。
ってか、初めの方は見てたんだ。
でも、キスシーンとかさ?仕事だって分かってても、浮気されたような気分になるし、健吾に愛されてないのかな?って勝手に不安になっちゃうし、何か傷つくし。
それが嫌でドラマや映画を見ることはなくなった。
ファン1号だなんて勝手に思ってるけど…私はやっぱり弱い人間だな。
好きな人の仕事も応援できないなんて。
そう思うこともあった…。でも…


未「でも、そんなに愛李が言うなら見てみようかな?」


今の私には、不安も孤独もない。
だから、今の私なら、健吾の仕事を心から応援できるんじゃないかなって思えたんだ。
だから、そんなことを口走っていた。

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