ただ好きなだけ
「よー!!」
私と愛李の会話に割って入って来たのは、賢治だった。
ゼミが同じになったのがきっかけで仲良くなった友達。
明るくて、ゼミのムードメーカーで、お洒落さん。
読者モデルもしてるから、綺麗な顔立ちをしてるし、身長だって高い。
ゼミの子から告白されることもしばしば。
でも、ゼミの中をごたごたさせたくないと、「恋をする気分じゃない」とまるで私と同じようなセリフを吐いちゃうような子。
似てるところがあるせいか、気の合う仲良しの男友達。
愛「賢治じゃん!!久しぶり」
未「久しぶり!!」
愛「学校、辞めちゃったかと思ったよ」
なんて、冗談を飛ばす愛李。
「な事あるか」と笑いながら、突っ込む賢治。
その二人のやり取りを笑ってみてる私。
この時間が私にとってのお気に入りの時間。楽しい時間。
賢「撮影が忙しくってさ」
大変そうな表情を浮かべて、綺麗にセットされた髪をかく賢治。
愛「最近、よく雑誌に出てるよね!!未愛といつもチェックしてるよ」
賢「マジ?サンキューな。
でさ、この前の撮影で、健吾のライブのチケットもらったんだけど…行かねぇ?」
そして、ヒラヒラと賢治の手に持たれて靡く紙切れ。
20×× 橘健吾 ワンマンライブ
と言う文字が紙切れの上で踊っていた…。