ただ好きなだけ
……健吾、ライブなんてするんだ。知らなかったな。
さっきまで強気だった私は一瞬で弱い未愛に戻って行ってしまいそうだった…。
でも、健吾と交わした約束だけが、弱くなりそうな私を支えてくれてる。
「記念日を祝おう」
そう、言ってくれたもん。
愛「キャー!!凄い!!賢治、ナイス!!絶対行く!!何が何でも行く!!」
賢治の持っていたチケットと取り上げて、キラキラした目で、愛李はチケットを眺めていた…。
はしゃぐ愛李を見ていた私に声をかけて来たのは、賢治で、「未愛は?」と優しく問い掛けてくれる。
優しく笑った賢治の表情。
まるで、私が一瞬、弱くなっていた事に気付いたみたいな…そして、慰めてくれてるような表情。
その表情に、私はナゼか救われたような気持ちになれた。
このライブに行ってみようと思えた。
未「うん、行ってみようかな?」
そう言うと「良かった…」と心底安心したような表情を浮かべる賢治。
「キャー!!未愛もついに健吾のファンの仲間入りだ!!」と騒ぐ愛李。
この時まで、気付かなかった…。
このライブの日に何が起きるのか。
色んな運命が、一気に動き出す運命を。
私は、まだ何も知らない…。