ただ好きなだけ
すれ違い
「健吾、かっこよかった~」
「最高だね」
どこからともなく、聞こえてくる女の子たちの会話。
今まで、私と賢治の二人の空間は、
あっと言う間に今まで健吾に魅了されていた女の子たちで溢れかえっていた。
未「……終わったみたいだね」
賢「あぁ……」
周りは凄く幸せそうなのに…
私と賢治の間には微妙な空気が漂っていた。
愛「未愛~!!賢治~!!」
二人の微妙な空間に、
薄暗い部屋に、パッと電気がつくように
愛李の声が私たちが作り出していた空間を壊してくれた。
愛「探したよ~」
そう言って走ってきた愛李に「ごめんね」そう言って私たちは、家路に向かう女の子の群れの中に混じって行った。
瞳の片隅で、見た賢治の複雑そうな顔を見てしまった。
賢治は、私に気持ちを伝えてくれたのに、
きっと私は、返事ができなくて
明日からの学校でも、賢治と何もなかったように話すんだ。
賢治の気持ちから逃げるんだ……
分かってるんだ……
こんなのダメだって。
でも、賢治の気持ちから逃げるしか
私の恋を守る方法を私は知らない。