ただ好きなだけ
未「健……お兄ちゃんが言ったんですか?」


なんで私は彼氏の健吾をお兄ちゃんなんて言ってるんだろう。
なんで私は妹に成りすましているんだろう。


「うん!!」


そう満面の笑みを浮かべる彼女。
手にぶら下がってるブランドものの袋。
きっと中には美味しいチョコが入ってるんだよね?
私が作ったチョコレートケーキなんかより美味しいものが。
そう思うと全てのモノにバカにされてる気分になった。


彼氏の健吾は私を妹と言って。
彼女である私の前には、綺麗なライバルがいて。
私が作ったケーキなんてちっぽけで。


喧嘩しても、健吾の帰宅を待っていた私ってなんだったんだろう。


バカみたい……。


健吾を好きって気持ちは、ズタズタに踏みつけられたような気持ちになったよ。
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