ただ好きなだけ
―――――――――ガチャ
未「…ただいま」
誰もいない部屋に向かって、声を出した私の言葉は、誰からの返事もなく、無駄に広い部屋に散らばって消えた。
未「はぁ…」
TVをつけると、また健吾が笑みを浮かべる、ワックスのCMが流れている。
今日はやたらと、健吾を見る。
好きな笑み。
でもね、今は、その笑みを見たら苦しくなる。
誰よりも近くで、私の大好きな健吾の笑みを見ていた3年前。
今は、みんなと同じ距離。
TVの中の健吾の笑みしか見れない。
未「いつから、健吾はここに帰ってきてないんだろう…。もう思い出しもしないな…」
そのままTVを眺めていると、ある文字が私の目に飛び込んできた…。
未「………っ嘘」