ただ好きなだけ
愛「健吾も恋してたんだね」


愛李の声も遠く遠く聞こえた。
だって、私と付き合ってた時の健吾は嘘ばっかりで。
私の存在はいつも否定されてたのに……。

今の彼女は、公に出来ちゃうの?
同じ世界の人?
だから、堂々と言えちゃうの?


未「……本当だね」


自分から、“ただの”ファンになることを決めた。
自分から、別れを告げた。

こんな風に思える立場じゃないって分かってんのに、
胸がギューってなって苦しい。

全部、自分で決めたことなのに……
こんな切ない気持ちになるなんて……
本当に私ってバカだ……。


未「私も、夏に恋したかったな」


健吾が前に進んでいるんだ。
私も、もう健吾のことで
いちいち胸がギューってなるこがないくらい
誰かを好きになりたい。


そう思ったら、口からあんな言葉が漏れていた。
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