ただ好きなだけ


そう自分で考えて、無償に悲しくなった…。
だって、自信がない。
俳優と言う仕事を始めて、初めてスキャンダルが出た時は、仕事そっちのけで私を抱きしめに帰ってくれたよね。
「ごめんね」って言って、「好き」と言ってくれた。
でも、3年も経てば変わってしまう。
移動のついでに、私に「ごめん」だけを伝えに来る。
完全に、仕事>私 なんだ…。
それを実感する。
そして、今回は…


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FROM:健吾
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TV観た?ごめんな。心配しなくていいから…。


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メールで済まされてしまった…。

心配しなくていいから?
心配するようなことしないでよ!!
理由を教えてよ。
どうして、あんな記事が出るの?
その女の人に会う時間はあって、私に会う時間はないの?
家に帰ってくる時間すらないの?
別に特別な時間を望んではないよ。
同じ布団に包まって、眠りたい。
ただ、それだけ。
健吾のぬくもりを感じたいだけ。

でも、何ひとつ健吾には言えない。
だって、俳優の道に進むように進めたのは、紛れもなく、この私だから。
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