ただ好きなだけ
目隠し

君の手

だんだん、真っ青な木々が、少しずつ秋の装いに変わった秋。
私は、一人で図書館に篭ってる。
会社からたくさんの宿題が出たの。


「あ、未愛ちゃん」


図書館だから、小声で聞こえた声。
振り返ると拓海くんの姿。


拓「あ、それ宿題?」


未「拓海くん。うん、もう終わった?」


拓「終わる訳ないじゃん。今から。ほら」


そう言って、鞄の中から私と同じ宿題を取り出す。
いつもと同じ、笑みで。
笑窪が印象的な。
落ち着く笑み。


拓「俺も、一緒にしていい?」


未「うん、どうぞ」


「ありがとう」と言いながら、席に着く拓海くん。
あ、何か憧れてたシチュエーションだ、なんて、そんな事を思った。
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