ただ好きなだけ
未「一人だけ、ちゃっちゃと宿題終わらせちゃうんだ……」


プゥっと頬を膨らませていると


拓「そんなことしないから!!!!ってか、俺も疲れたし、飲み行こう」


そう言って、私の頬をブーと潰してバタバタとテキストを仕舞ってしまった。
あ、また頬が少し赤い?
初めて会った、あのバス停での拓海くんの頬と同じように。


拓「ほら、未愛ちゃん、行くよ」


そう言って、まだテキストを広げたままの私を置いて歩き出してしまった拓海くん。
私は置いていかれないように、広げたままのテキストを仕舞う。
だから、拓海くんが「こんな状況で、宿題なんて進まない」と言ってたの何て聞こえてなかった。
拓海くんの頬の赤さの意味も。
何もかも、分かんなかった……。


未「拓海くん、待って!!!!」


そう言うと、カウンターにいる職員にギロッて睨まれちゃった。
そりゃ、そうだ。ここ、図書館だった。
そして、そんな視線にやられた私を見て、拓海くんは、楽しそうに笑ってた。
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