ただ好きなだけ

分かれ道



――――――3年前

卒業間近の寒い冬だった。
健吾と私は、残り少ない、制服デートを楽しんでいた。
その時に、健吾はスカウトされたんだ。


健「うーん、でも……」

決して、首を縦に振らない健吾。
そして、絶対に引かないスカウトマン。


健「未愛は、どう思う?」


そう言われて私は、迷いなく、こう答えた。


未「私は、健吾に芸能界に入って欲しいな。だって、会えない時間も健吾を見れるなんて、超!!贅沢じゃん!!」


そんな言葉を口走った私。
今、考えれば、何て浅はかな考えだったんだろうって思う。
会えない時間に健吾を見れるって確かに幸せ。
でもね、実際に目を見て、会うことも、話すことも、できないなら、元も子もない。


健「うーん、そうかな?」


未「まぁ、無理にとは言わないけど、健吾がしたいなら、するべきだよ!!」
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