ただ好きなだけ
未「それに、こんな風にスカウトされるなんて凄いことだよ?だって、実際、芸能界に入りたくても、入れない人は、たっくさんいるのに、健吾はこうやって、スカウトマンに目を留めてもらえたんだから!!」


そう、凄いこと。
あのスカウトマンに一寸の目の狂いはなかった。
健吾は、あっと言う間に誰でも、名前を知っているような有名人になったのだから。


未「健吾が、やるなら、私は、ファン第1号になってあげる!!」


今でも、変わらない。
私は、健吾のファン第1号。
でも、ファン失格だ。
だって、早く仕事が減っちゃえばいいのに…なんて考えてしまうから。
あのスカウトマンを心底恨んでしまうから。



それから、間もなく健吾は、俳優デビューを果たす。
それが、私と健吾の1年の記念日だった。
一緒に入れないことは悲しかったけど…
TVで初めて健吾を見た時、ママやパパに「うるさい!!」と怒鳴られるくらい大きな声を出して、大はしゃぎしたっけ。
あの時の気持ちはドコに行っていまったんだろう。
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