Natural

電話をかけると何秒か後に男の声がした。

翔『…もしもし？』

姫は多少興奮気味に話した。

姫『もしもし！？あの、わたし美紗子の友達の中澤姫子といいます。あの、美紗子のこと、なにか知りませんか？今家来たらめちゃくちゃで…バッグと財布あるのに携帯と車なくて…』

そう言うと翔は黙り込んだ。

姫『もしもし？聞いてます？』

翔『あ、はい。俺も連絡してるけどあいつずっと電源入ってなくて…』

気まずそうに言う翔に姫は強い口調で聞いてみた。

姫『昨日、あんたのとこ来たんでしょ？美紗子は。なんか知ってんじゃないんですか！？』

いきなりあんたと言った姫に毅は落ち着けと手でジェスチャーをした。

翔はその言葉を言われてまた黙り込んでしまった。

そんな翔に姫は低い声で

姫『ちょっとー、あんた絶対何か知ってる。吐けって！！』

そう言うと翔は話し始めた。

好きな人がいると言われたとき、りんごと一緒にいた毅だとすぐわかったこと。

我を忘れて美紗子を犯してしまったこと。

床に押し付けて乱暴なことをしてしまったこと。

その間ずっと美紗子は泣きながらやめてといい続けたこと。

それにむかついて更に殴ってしまったこと。

詰まりながら話す翔に姫は絶句した。

そして聞きながら涙を流してしまった。

泣いていることに気付いた毅は姫が固まっていることに気付き、電話を奪った。