Natural
”死ぬことすらできない。”

そう思いながら歩いているとアパートに着いた。

男の家の玄関に入ると男が

『姉ちゃーん!!』

と言った。

ふすまが開き、姉らしき人が返事した後に美紗子を見て

『ちょっと、どうしたのこの子!?知り合い!?』

ビックリした感じで言った。

それもそのはず、美紗子は喪服姿で全身びしょ濡れで砂まみれ。

だれがどうみても自殺しに来て止められた女という感じだ。

『拾った。ちょっと服かなんか貸してやって。独りとか言うし話も聞いてやったがいいかも。』

美紗子は人に話せる自信もなかったし、こんな見ず知らずの人に迷惑をかけるのは申し訳ないと思ったので

美『大丈夫です。帰ります。もう心配しないでください。』

と言って玄関から出ようとした。

でも男が

『お前、また変なこと考えそうだけん今日はゆっくりして行け。』

と言った。

そして姉らしき人も

『遠慮はいらないから。わたしもいるしまずシャワーを浴びなさい。』

そう言って着替えとタオルを持ってきてくれた。

そして手をひかれてお風呂に連れて行かれた。
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