Natural

朝、男に起こされた。

起きると朝食が用意してあってお礼を言って頂いた。

よく考えると美紗子はお花見のとき以来全く食べ物を口にしていなかった。

それを言うと男が

『おかわりして食え！！』

と言った。

そこで２人の名前を聞いた。

姉は貴子（たかこ）といって３１歳、男は幸二（こうじ）といって２７歳だった。

２人は九州から出てきたばっかりだそうだ。

美紗子は２人に改めて御礼を言った。

まず幸二に命を助けてもらったこと、貴子に話を聞いてもらって優しくしてもらったうえ、朝食まで用意をしてもらったこと。

２人は気にするなとは言ってくれた。

朝食後、バッグを車にまだ置きっぱなしと言うと

幸『早く取りにいけ！！なんで置きっ放しや・・』

と言われ急いで取りに行った。

そしてバッグを持ってまた部屋に戻った。

貴『独りなんて言わないで。わたしたちがいるから。心細いときは連絡したら遊びに行く。来てもらっても全然かまわないから。』

幸『おう。毎日生きてると連絡しろ。』

そう言うと貴子が幸二の頭をポコッと殴って

貴『そんなこともう考えるわけないでしょ！！』

と言った。

美紗子はちょっと心がズキッとしたが、この２人のおかげでまた未来が広がったような気がした。

そして連絡先を教えて家に戻った。