Natural

そんなとき、美紗子の携帯が鳴った。

聞き覚えのあるこの着信音は間違いなく百合からの電話だった。

本当はまだショックで出たくもないが、あれからの２人の成り行きが気になっていたので電話に出た。

美『もしもし？』

百『元気？』

前までの仲良かったころの百合の話し方だった。

この前家で嫌いだと言ったときと声が全然違った。

美『うん。百合は？』

百『元気なんだ。つまんない。』

やっぱりまたあの時みたいな口調になった。

百『あんた、毅によくも喋ってくれたね。あんたがまさか言うとは思わなかったよ。すっごい予定外。わたしの印象、おかげで下がりまくったよ。ほんっと美紗子のおかげで。』

美『ホントのことしか言ってないから。』

ちょっと強い口調で言った。

ショックが１番大きいが、美紗子にも怒りという感情はある。

百合にあんなこと言われて怒らないわけはない。

百『でもさ、毅はわたしと一緒にいるってさ。』

美『・・・』

百『うそだけど。』

美『え？』

百『わたしさ、最初から毅好きなわけじゃないし、あんな責められてまで一緒いないから。』

この言葉であれから毅が百合を責めたんだと思った。

美『別れたの？』

百『聞かれた瞬間捨ててやった。』

美『最低。よくそんなことできるね。』

美紗子は怒りでいっぱいだった。

百『あんた、まさかこのこと知らなかったの？まだ毅から聞いてないんだ。あの男実はめっちゃショック受けてたりして～』

笑いながら百合は言った。

美『百合ごときにショック受けるわけないじゃん。百合相変わらずバカだね。』

美紗子は相当頭にきていて思いっきり言った。

美『まじ百合消えてほしい。イライラしてくる。二度と連絡しないで。』

百『なっ』

プツッ。

百合が何か言っていたようだが美紗子は一方的に電話を切った。

切った瞬間、モヤモヤとした気分に襲われた。