神が支配する世界
「母さん…」
海斗は、女の腕を振り払った。
あんなに強く抱き締められ身動きがとれなかったのに、こんな簡単に振り払えたのかと海斗は不思議に感じた。
しかし、今はそんなことを気にしている時ではない。
海斗は、母に近づく。
「嫌!海斗行かないで!」
しかし、女に手を掴まれた。
「離せ…」
海斗は女を睨む。
その目を見た女は、すぅーと海斗の手を離した。
海斗は、母に近づく。
「母さん…立てる…?中入ろう…」
「海斗…ありがとう…」
海斗は母の肩を抱いて、家の中へ入った。
それを確認した父が、女を見つめた。
「ちゃんと話し合いの場は設けますから…今日みたいなことは止めてください…」
そして、ガチャンと玄関の扉を閉めた。