空ノ唄
「ある女の子の親は毎日喧嘩ばかりしてました。
お母さんは男をつくって出て行き、
お父さんは女の子に
散々暴力を振るったのち、
女をつくって出て行きました」
私の目をみて真剣に聞いている。
ただの昔話なのにさ…
「そして、家に残ったのは
暴力を振るう兄のみ。
女の子は毎日毎日、
蹴られたり、殴られたり、
今もその苦痛に耐えるのでした…
昔話はこれで終わり。どう?満足?」
私は泣くのを我慢して一気に喋った。
だけど、話し終わったあと、
私の眼には涙が浮かんでいる。
必死に溢れるのを堪えていた。