バニラエッセンス
神の悪戯
「任せろ」
という瀬田さんの言葉で、私は瀬田さんと共同生活を送ることに決めた。
12月15日、時計の針が、12で重なる3分前。
やけに綺麗で狭いアパートの一室に、私たちは腰を下ろした。
ここで10日間生活するのか、と思うと、不安と興奮は6:4だった。
「ねぇ」
私はお茶を沸かしてくれている瀬田さんの背中に話しかける。
「私、何をしたらいいですか?」
「え?何もしないでいい」
瀬田さんは手を止めることなく声だけで返事をする。
「でも、お邪魔しちゃって、そういうわけには………」