バニラエッセンス
あなたとの出会いは、12月15日。
忘れもしない、とてもとても寒い日だった。
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「ねぇ君」
私の背後で、甘ったるい男の声がした。
世界で一番嫌いな、雑音。
「いま暇じゃない?」
「あっ暇じゃないです」
と、私はため息交じりに告げる。
いつものことだ。
高2にもなって危ない道を通れば、大してルックスが良くなくてもナンパぐらいされる。
だからいつも通り、これで終わる―――はずだった。