Birthday Present
白山亮に連れて行かれた所は体育館裏。
私のことをおろすと、壁にダンッと手をついた。
白山亮の顔が怖くて私は目をあわせられなかった。
『おまえ…俺のこと怖いって…本当か?』
『あ……だって、噂では怖いって言ってたから、それにブスとか言うし話しかけても無視するし今の顔怖いし……』
ハァ…と白山亮はため息をつくと口をひらいた。
『おまえは…噂を信じちまう奴なんだな…』
そう言ったあとの白山亮の顔は悲しそうに見えた。
なんだか心が痛んだ。
『し…白山亮がそんな顔していいの?白山亮は悲しい顔より偉そうな顔のほうが…似合うよ』
悲しそうな白山亮の顔を見たとたん慰めの言葉がでてきた。
『おまえそれ慰めてるつもりか?』
『うん』
私がそう言うと白山亮の顔が私に近づいてきた。
『近いんだけど…』
私はわざと横を向く。
白山亮…顔近すぎだよ…こんなに近かったらドキドキするにきまってんじゃん。
『…そろそろ離れて…』
『あぁ』
白山亮は私から離れた。
『じゃあ俺行くわ』
そう言うと白山亮は行ってしまった。
『あ!』
急に白山亮がピタリと止まった。
『おまえ俺のこといつもフルネームで呼んでるだろ?』
『うん…』
『“亮”でいいから。じゃあな“美咲”』
そして今度こそ行ってしまった。
『なんなの?しろ…亮…って怖い人じゃないんだ…』
“亮”と言うだけど顔が赤くなる。
それにドキドキする。
何でかな…?
“初恋”もまだな私にこのドキドキの意味がまだ分からなかった。
これから亮のことを傷つけるとも知らずに…。