Birthday Present
『そう!たまたま通りか……』
『お…おめでとう』
私が最初にでてきた言葉は“おめでとう"だった。
『美咲…ありがとう』
でてくる涙を必死に堪え、笑顔をつくる。
堪えきれず涙が頬に流れた瞬間目の前が見えなくなった。
『わりぃ、こいつに用あんだ。連れてくぞ』
この声はきっと亮。
亮の手が私の目の上にあててあるのに気がついた。
ゆっくりと私を歩かせる。
『よし…いいな』
そっと手を離す。
『もう…我慢すんなよ』
『が…我慢なんか…してない…』
『あんなとこ見て泣けないバカいねーだろ』
『う…ぅ…』
今だけあなたに甘えてもいいですか…?
『うわぁー…!』
今だけあなたの体を貸して下さい。
今だけでいいから。
私が初めて大声で泣いた場所は亮の腕の中でした。