Birthday Present
合宿最後の練習が終了し、私達はバスへと乗り込んだ。
『全員乗ったか?』
『はい、人数確認終わりました』
『じゃあ、運転お願いします』
バスが少しずつ進み始めた。
今日で合宿が終わりとなると嬉しいような寂しいような…。
バスの中ではほとんどの人が疲れて眠っていたけど、私は窓から景色をボーッと眺めていた。
このあとに中沢君に“あのこと"を伝えると思うとなんだか緊張して眠れなかった。
隣の椅子に座っている友花を見ると、みんなと同じく寝ていた。
前の席の人の椅子の隙間から時計を見ようと除くともう時計の針は4時をさしていた。
風景を見るのも飽きてきて友花と話そうとも寝ているから話せないし、ましてや起こすなんて可哀相だし。
とりあえず友花のことを見つめてみてふと思った。
友花は中沢君がかっこいいとかしか言わないけど友花は好きな人がいるのかな?
私の恋バナは喜んで聞いているのに友花自身の恋バナは聞いたことがない。
好きな人がいないのか、中沢君とか亮が好きなのか…。
謎が深まるばかりだった。
謎といえばもうひとつある。
肝試しの時亮と抱き合っていた女の人。
今思えばあれは未織だった気がする。
私が崖から落ちた時亮と中沢君が助けに来てくれたけど未織も来てくれていた。
未織と初めて話したのはあの日が初めてだったのに。