Birthday Present
今はちょうど針が5時をさしたころ。
私達は学校の前に到着した。
『じゃあ、みんな気おつけて帰ろよ』
『『はいっ』』
みんながぞろぞろと帰って行く。
でも私はその場に立ったまま。
友花が「一緒に帰ろう」って言ったけど断った。
みんながいなくなったあと中沢君が私に駆け寄った。
『美咲ちゃん、話って何かな?』
中沢君がそう言うと亮が背を向け校門から出て行った。
気をつかってくれたんだと思う。
『中沢君、未織と両思いおめでとう』
『あ、ありがとう』
とりあえずまだ“ちゃんと"祝福していなかったから。
『でも、前も言ってくれなかったっけ?』
『うん、言ったよ。でも前に言ったのは嘘の言葉だから…あ!でも今の言葉は本当だよ』
中沢君の瞳が私の瞳を見つめる。
『…私、中沢君のことが“好きだったよ"』
『…え?でも俺――』
『知ってる。ただ私の気持ちを伝えたかっただけだからさ。告白するならかっこよくふられたいしね…じゃあ』
私は最後に中沢君にとびっきりの笑顔をみせた。