Birthday Present
『あ!そこの人、捕まえてく……』
亮が言葉を言い終わる前にその人は奥山を持ち上げた。
やっと奥山に追いついた私達は、床に座り手をついた。
『ハァ…ハァ…捕まえてくれて…サンキューな…』
『いや、別に俺は何も』
ん?この声…聞いたことあるな。
私と亮はほぼ同時に顔をあげ奥山を捕まえてくれた人を見た。
『な…中沢!』
『中沢君!』
『どうしたの?二人とも、俺の顔に何かついてる?』
中沢君の顔を見をビックリした顔で見つめる私達に中沢君の方がビックリしていた。
『なんだ…中沢か…』
亮が立ち上がり、中沢君の腕から奥山を持ち上げた。
『まじでありがとな、ほら美咲、行くぞ!』
『む…無理…疲れて歩けない…』
『ったく…体力ねぇな、お前』
そう言うと亮が急に私の腕を引き、お姫様抱っこをした。
当然奥山は私の体の上にいる。
『わ…ちょ…亮!下ろして、恥ずかしいし、奥山がー!』
『じっとしてろ、落とすぞ!』
『ヒッ…すみません…』
亮が歩きだす。
私は小屋に着くまで奥山から必死にたえた。
少し後ろを振り返り、中沢君を見ると急な光景にビックリした感じだったけど、なんだか悲しそうな顔をしている気がした。