Birthday Present
『え…?』
一瞬教室中の時間が止まった気がした。
『何…言ってんの?二人で私を騙そうとしてるわけ?』
『騙そうなんて…俺は本気だ』
『美咲…おまえは俺と中沢、どっちを選ぶんだ?』
『私は…』
私は…。
私はどっちが好きなの?
どちらも好きではないの?
『…もうすぐ始まるマラソン大会で、おまえをかけて中沢と勝負することにした』
『え?何かってなことしてんの…私の意見は無視?』
『だったら今俺か中沢か選べよ…』
『……っ』
無理だよ…まだ私の本当に好きな人すらわからないのに、どちらかなんて。
『じゃあ…俺はそろそろ帰る』
『亮!』
私達に背を向けて教室を出て行く亮の後ろ姿をなんだか私は見ていられなかった。
『美咲ちゃん…聞いたよ、俺のこと好きだったってこと…』
『え…?』
『今の気持ちはどうなの?』
『それは…』
『俺は、美咲ちゃんと付き合いたいと思ってる。たくさん傷つけたから…』
中沢君が私のことを壁に追い詰める。
『今度は絶対に美咲ちゃんのことを傷つけたりしない。大切にするよ…!』
『…!』
中沢君が私のことを優しく抱き寄せた。
『じゃあ…』
『うん…』
中沢君が教室を出ていったあと、私は動けなくなっていた。