Birthday Present
―学校―
部活中で誰も居ない廊下を急いで走った。
『あ…よかった、教室開いてる』
すぐに机の中を覗き込む。
『…あった。よかったー』
ピンを無くさないように制服のポケットに入れるとすぐに教室を出た。
誰にも見つからないように周りを見ながら廊下を歩いた。
校舎を出ようとすると外の体育館裏で人の声が聞こえた。
すぐに行こうと思ったけど、気になったから少し覗いてみた。
私…悪趣味かな?
『私さ…聞いちゃったんだよね…中沢君と白山君が美咲をかけて勝負すること』
『池田、お前って悪趣味だな…』
友花と亮…?
『たまたま通り掛かっただけだし、でもさなんでわざわざ勝負するわけ?』
私もそれは少し気になっていた。
なんでわざわざ勝負するつもりがあるのかなって。
『勝負でもやんなと美咲の奴中沢のとこに行けねーだろ』
だから…亮。
『俺が告白さえしなければ、あいつはすぐに中沢と付き合えるのに…俺が余計なこと言ったから、俺に悪くて言えないと思うんだ』
…亮がそんなに私のことを考えてくれてたなんて知らなかった。
『あいつはみんなの為に気を使う優しい女だ。だから俺があいつを笑顔にさせてやりたいんだ。たくさん泣いたから。本当に好きな奴と幸せになってほしいんだ』
亮…。
自然と涙が零れてきた。
『白山君…まさかあなた負けるつもり?』