Birthday Present
『亮はきっと中沢君に勝つつもりなかったと思う…』
『えっ…』
『亮のヤツ私と中沢君を付き合わせようと思ってたの…あいつバカだから…本当にバカ…』
涙があふれてくる。
『ごめん…私…中沢君とは付き合えないよぉ…』
あふれてくる涙を手でぬぐう。
『中沢君のこと好きだよ…大好きだよ。でも心の片隅に亮がいるの…苦しい時に支えてくれて…』
ボロボロな私の心を受け止めてくれた。
私の幸せを願ってくれた大事な…大好きな人。
『美咲ちゃん…行きなよ…!』
『…中沢君…?』
『俺…美咲ちゃんのこと好きだよ…だけど白山には勝てなかったみたいだ』
中沢君が私の瞳を真っすぐ見つめる。
『俺からのプレゼントだ…』
『プレゼント…?』
『行きな…!』
プレゼントの意味は全くわからなかった。
けど…。
『ごめ…中沢く…ん』
中沢君の手をそっと包む。
『ありがとう。でも中沢君のことは一生忘れない…だって、私が初めて好きになった人だから…!』
そう言い残すと私は保健室を飛び出した。
『…美咲ちゃんお誕生日おめでとう…』
中沢君が何か言っているのがかすかに聞こえたけど、何を言っていたのかはわからなかった。