SSシリーズ
「っ、」
言ったあと、すぐに後悔した。
ーー傷つけた。
烈の真っ直ぐにわたしを見つめる目が、動揺に揺れた。
「烈、ご、「やだ、」
謝ろうとした、のに
「やだ、絶対やだ。嫌いにならないで。ごめんなさい、ハジメちゃん、ごめんなさい」
烈はいつも、わたしばかり。
「烈、ちがくて、」
「嫌だ!絶対別れない!」
「…、」
「ハジメちゃんはわかってない、自がどれだけ、」
「、」
とん、と背中にひやりとした感覚。
わたしより随分長身な、烈が影を落とす。
「…、俺の、ハジメちゃんなのに」
「…っ、」
ぞくり、鳥肌がたった。
耳元で囁くように、けどすがりつくように。烈は距離を詰める。
目をぎゅ、と、堅く閉じた。
少し、怖いのだ。
烈が、烈の目が真剣すぎて、真っ直ぐ見つめられない。
が、
ぱ、と近づいていたはずの熱はすんなりと離れていった。
「……帰ろ?」
にこり、笑ったはずの烈の笑顔は、泣いているように見えた。