SSシリーズ

「っ、」


言ったあと、すぐに後悔した。

ーー傷つけた。

烈の真っ直ぐにわたしを見つめる目が、動揺に揺れた。

「烈、ご、「やだ、」

謝ろうとした、のに


「やだ、絶対やだ。嫌いにならないで。ごめんなさい、ハジメちゃん、ごめんなさい」


烈はいつも、わたしばかり。


「烈、ちがくて、」


「嫌だ!絶対別れない!」

「…、」


「ハジメちゃんはわかってない、自がどれだけ、」

「、」


とん、と背中にひやりとした感覚。

わたしより随分長身な、烈が影を落とす。

「…、俺の、ハジメちゃんなのに」


「…っ、」

ぞくり、鳥肌がたった。
耳元で囁くように、けどすがりつくように。烈は距離を詰める。


目をぎゅ、と、堅く閉じた。

少し、怖いのだ。


烈が、烈の目が真剣すぎて、真っ直ぐ見つめられない。



が、


ぱ、と近づいていたはずの熱はすんなりと離れていった。

「……帰ろ?」

にこり、笑ったはずの烈の笑顔は、泣いているように見えた。











< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop