SSシリーズ
悲しいほどに一方通行
「いい加減あたしに落ちてよ」
「や、意味わかんね」
「ねー好き?好きになっちゃう?」
「なんなんだよ」
つれないなぁー、と言って後ろから抱き付いていた彼女は俺から離れる。
7歳下の幼馴染である憂(ユウ)つきまとわれる俺、下野優(ユウ)。
しかも学校で。
一応、俺は教師。
幼馴染といえど、コイツの兄貴の昂と俺が同級の幼馴染なだけで、憂とはあんまり関わった記憶なない。
そしていっくら幼馴染といえど俺は教師だ。
「ねーってばー、なんで優くんは憂にオチないのー」
「こら。先生と呼ばんか。子供にはきょーみないの」
「もう生まれてから、毎日のようにアピってるのにぃー」
「はいはい」
憂はすとん、と教室の椅子に腰を下ろすと、はぁー、とため息。
「幸せにげんぞ」
「たった今逃げていきましたよーだ」
ふてくされる憂がちょっと可愛くて、思わず笑えた。