SSシリーズ

「ふんだ。昂兄ちゃんに言いつけてやるんだからー」

「それなら、昨日昂にお前に最近付きまとわれて迷惑してるって電話で話した」

「えぇ!?」

「あいつ嫁ボケ激しいみたいだからなんかノロケばっか聞かされた」

のぁー、と頭を抱える、憂を横目にふっと、また笑えた。

「てかてか!!優くんあたし等結婚したら、同姓同名じゃん!きゃーどうしよう!」

「大丈夫。ないよ」


優しく、けど残酷に突き放したつもりだった。
わかってるよ。お前が本気なのは。

けど、

「、」

「もう帰れ」

「やだ。」

「かぁちゃん心配すんだろ」

「…やだ…!やだやだ!」

「はぁ…ったくなに「優くんはどうしてあたしのこと見てくれないの!?どうして?ずっとずっと昔っから優くんだけが好きなのに!あたしの気持ちは優くんにしか向いてないのに、優くんは一度だってあたしのこと、見てくれない。好きなのに、優くんがいいのに…!」

ぼろぼろと両目から大粒の涙をこぼす憂の声が、女特有の甲高い声と共に二人だけの教室に響いた。

「…、ごめんな。」

「なんで、よぉ」

「ごめん」

「…、っ、ひ…やだぁ、優くんがいい、」

「うん」

「…好き」

「うん」

「優くんが、好き」



――悲しいほどに一方通行



「うん、ありがとう」


(ごめんな。)
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