私
「おっはよっ!!」
パシッと私の肩を叩き目の前に現れたこいつは幼馴染みのヒロ。
「いつもながらお前の明るさには感心するよ。いや能天気さと言ったほうがよかったかな。」
こいつに対しての私の嫌みはいつもの事なので、お互い挨拶のようなものだ。ヒロも軽く受け流して、秘密を持った子供のようなキラキラした顔で話し掛けてくる。
「酷いなぁ。今日は特別だって。お前知ってる?うちのクラスに今日転校生来るらしいよ。」
「へぇ。まぁ今日から新学期な訳だし、いてもおかしくはないね。にしてもヒロ情報早いな。」
「つーかお前だけでしょ、多分知らないの。」
「なんで?」
「…いやいや成績優秀なユキなら考えれば分かるんじゃない?」
「………あーいつものあれか。」
「そう、それ。」
私とみんなの相違点、それはモバイルフォン、ハンドフォン、いわゆる携帯電話というやつです。
説明しなくとも、クラスの大多数が持っていなくて、私だけが所持しているなんて考える人はいないだろう。
だからと言って自分自身を貶める考えは持っていない。生きた化石だとか、時代を逆行するヤツなんて言われたりしているが、それはそれでおもしろいんじゃないかと、今の状況を自分なりに楽しんでいる。